Interview
食養生研究家
塚本 紗代子
002
「体を浄化できるのは水だけ」
食養生研究家のキッチン
2022.12.20up
Interview
食養生研究家
塚本 紗代子
002
2022.12.20up
キッチンから生き方を見つめるインタビュー。
「食」という切り口から人や地球の
健康を考え、
循環型のライフスタイルを
実践する塚本さん。
葉山での生活や
キッチンのこだわりを聞きました。
私は学生時代の無理なダイエットで体調を崩したことがきっかけで、「健康につながる食」を研究するようになりました。そして陰陽五行説などの自然哲学に基づいた「中国伝統医学(中医学)」や、陰陽や食物養生法を組み合わせた「マクロビオティック」と出会い、人の心と体、そして人と自然のバランスをとりながら、健康な暮らしを実現したいと考えるようになりました。
そんな食や健康、地球環境に対する問題意識から、循環型の暮らしを実践する生産消費者コミュニティをつくりたいと思って、2020年に生活共同体「TSUMUGI」を立ち上げました。食にまつわる生産〜消費〜廃棄までの一連のプロセスにメンバー自らが参加することで、消費者ではなく「生活の作り手」となる人を増やすことを目標に活動しています。例えば田畑を管理して作物を育てるといった、ひとりでは実践が難しいことでも、仲間とリスクごと共有して取り組めば「善い暮らし」のハードルは下げられる。そんな小さなチャレンジを繰り返して、それぞれの暮らしや意識に変化を起こせたらいいなと。
TSUMUGIの他にも、一般社団法人BLUE BALLOONの環境再生型農業の研究・普及事業、Table to Farm社のブランドマネージャー、同社が運営する「ふ定食屋」のレシピ開発などに携わっています。どれも「食卓から豊かな循環をつくる」という共通の考え方を持っていて、「おいしかった」という一時の感情で終わらせずにその先のことまで考えてもらえる、そして未来へ価値を残すことをやっている方々が社会的にもちゃんと評価される、そんな世の中の仕組みをつくりたいと思いながら日々駆け回っているところです。
元々2019年から葉山で暮らしていたのですが、TSUMUGIのコミュニティスペースとなるような物件を探す中でご縁あってこの家を紹介していただき、2020年に自分の生活拠点もこちらへ移しました。葉山は海や山がとても身近な存在で、地元の方々やお店からも自然に対する意識の高さが感じられます。都心へのアクセスもいいですし、あと海好きとしては気軽に潜りに行ける距離感も決め手となりました。葉山の海を訪れるなら、夏よりも濁りが落ち着いて透明度が増す10月頃がおすすめです。
この家は基本的には私が自宅として使っていますが、メンバーとの打合せや合宿場所にもなりますし、蚤の市開催日には庭もリビングも一般開放してみんなでシェアしています。「食と暮らしの試着室」というコンセプトで、お店で洋服を試着するように、自分にも地球にも無理のないライフスタイルを試せるような場所を目指しています。環境に配慮された商品を購入できたり、普段はお店で買っているものを自分で作る体験ができたり、既に循環型の暮らしを実践している人から生の声を聞くことができたり、この場所から「人の健康と地球の健康がつながっていること」を体感してもらえたらいいなと。現在TSUMUGIのメンバーには、管理栄養士、調理士、生産者、公務員、会社員など様々なバックグラウンドを持つ方々がいるのですが、いろんな価値観に触れながらみんなで学びを深めることの大切さも感じています。私が環境問題を意識するようになったのも身近な存在がきっかけでした。青山のファーマーズマーケットで知り合ったインターン生が、世間が騒ぎ始めるよりもっと早くから気候変動に対して強い危機感を持っていて、「地球規模の問題に対してこんなに真剣に考えている人がいるのか」と衝撃を受けたことが今につながっています。
キッチンは大人数でシェアできる空間にしたかったので、大家さんに相談してアイランドキッチンを導入し、シンクも大きいものにしていただきました。現役で使っているお鍋はどれも人からいただいた物ばかり。食材や調味料は無農薬や無添加で、なるべく地のものを食べたいなと思っています。化学調味料を使わない分、味により深みを出したい時や物足りなさを感じた時にはスパイスを使います。
都内へ出かける場合はなるべく1日に予定を詰め込み、週に3,4日は葉山でゆっくり過ごせるように調整しています。朝はまず白湯を飲んで、始業前にはコーヒーを淹れるのが日課です。頻度は少ないのですがキャンプに行くのが好きで、自宅でもアウトドア用の小さいコーヒーミルを愛用しています。コーヒーやお茶って水分だけではなくさまざまな成分を含んでいるので、実は体にとっては食事から栄養を摂取することと同じらしいんです。体を巡って老廃物や毒素を排出し、浄化できるのは水だけ。なので私は、コーヒーやお茶とは別に水単体でも毎日1〜1.5Lは飲むように心掛けています。人の健康って水にとても影響されるので、飲み水も料理に使う水もできるだけ水道水は使いたくないのですが、浄水をつくるために手間が増えてしまう物だと、それを習慣化できるまでが大変で。でもトレビーノ®ブランチのようにシンクの下に取り付けてしまえば、水を汲んだり料理をしたり、今までの生活の中に浄水を使う動作が馴染むのでとてもいいですね。
水道水だとどうしてもエグみや塩素っぽさが舌に残ってしまうのですが、トレビーノ®ブランチの浄水にはそれを感じませんでした。今日のお吸い物は昆布とにぼしと鰹節で出汁を引き、そこに里芋とカブと三つ葉を入れ、塩と醤油でシンプルに味を付けたものですが、この浄水によって味がすっと入ってきて、口当たりもまろやかに仕上がったと思います。
Profile
食養生研究家
塚本 紗代子
Sayoko Tsukamoto
静岡県出身。国際中医薬膳師。食から体を整える「食養生」の考え方を、料理教室やレシピ・商品開発などを通じて提案。2022年、一般社団法人生活共同体TSUMUGIを創業。全国の生産者とパートナーシップを結び、一般メンバーとともに循環型の暮らしを実践しながら、自分にも地球にも無理のないライフスタイルを探求している。
https://tsumugi.community/